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画家が考える 絵が上手くなるためのヒント vol.1〜モノではなく「空気を」描く〜

教室に通って来られる生徒さんのみならず、絵を描いてる人は皆「どうしたら絵が上手くなるんだろう」と思っているはず。

そこで、今回は普段私のレッスンで話している、絵が上手くなるためのヒントその1「空気を描く」ことについてご紹介します。

 

「もの」を描かずに「空気」を描くとは?

ものを上手く描くには、どうしても正確さが必要です。正確に描くとなると、、何年もかけてデッサンの勉強をしてきた人に敵いません。私も退学組なので、ハナっから勝ち目はありません。

じゃあどう勝負するのか?と思いますよね。まずは、「もの」を描くのを諦めて「空気」を描くことに集中してみましょう。

今は、書店に行けばたくさんの教本が並んでおり、それぞれの絵描きさんが技術を惜しみなく、とても丁寧に説明・解説しています。
バラの描き方、遠近法、水面の表現、人物の描きかた等々…。好きな作家さんの本を数冊選んで、それなりに真似してみたら、なんとなしにでもコツがつかめるはずです。

ただ、このやり方は「もの」を上手に描くためのテクニックは学べるかもしれませんが、残念ながらそれで上手くなるか。。。と言ったら私はちょっと違うような気がします。

 

「上手な絵」=「技術が高い」ではない。重要なのは魅力的かどうか

では上手い絵とはどういう絵でしょう?きっとそれぞれが思う「それ」って違いますよね。果たして息を呑むような写実画で、写真より本物みたいな絵でしょうか?
では印象派のモジリアニのように首が長くてちょっと形が狂ってるような女性像は上手くないのでしょうか?

バラの花を筆のストロークを使いながら見事に描きあげた絵も良いけど、決してシャープじゃないのにバラか牡丹か微妙な絵なのになんとなく花が語りかけてくるような…そんな絵もとても良いなあと思うのです。

つまりは上手いかどうかよりも、技術的に優れてるかどうかよりもその作品が「魅力的」かどうか!それが一番大事なのではないかと思います。
「欲しくなっちゃうなあ」「ずうっと見ていたいなあ」と思ってもらえる、人を惹きつけるような絵を目指しましょうと私は教室でお話ししています。

そして、そんな魅力的な絵には独特の「空気」が感じられます。
バラを上手く描きたい・・・その気持ちもすごくよく分かるけど、バラの花を上手に描く前に、そこに今存在する「空気」を描きましょう。
赤いバラが5本あれば、そこにはその空気が存在します。黄色いバラになれば空気の色が変わってくるはずです。

もちろん、空気の色をどう感じるかは十人十色!そのとき感じた色こそあなたオリジナリティで、魅力的な絵に繋がる重要なヒントになります。

 

「空気」を読めるようになれば魅力的な絵は描ける!

では一体その場の空気ってなんでしょう。。。これが問題です。実はその空気が読めればもう絵の50%は出来上がりなのです。

基本的に私の教室ではお花のモチーフでもなんでも描くとき、下描きはしません。生徒さんはいきなりパレットで色を作って、ザックザックと塗り始めます。
一生懸命鉛筆で下書きしても狂っていたら後でどうにもならないから最初から無駄な事はしないよ!と指導してます。

そして、その時最初にパレットで作った色がまさに「空気の色」です。
赤いバラのモチーフを見て、ブルー系の色をゴニョゴニョ作る人もいるし、赤をいきなり作る人もいます。
それぞれが赤いバラのモチーフに向かって感じた色、最初にイメージした色がその人のその日の「空気の色」になります。正解不正解は全くありません、それぞれで良いのです!

↑私の絵画制作風景を動画で撮影しました。参考にしてください!

影や色、選んだ色があなたのオリジナリティを生む

空気の色を見つけたら、ここからが大切です!次は、空気の色から一番暗い色で「影の色」を作ります。濃い色ではなく「暗い色」ですよ。ここを間違えないようにしましょう。

例えば、空気の色がブルーに感じた人は、ブルーに赤を混ぜたり紫を混ぜたり、あるいは暗いグリーンを混ぜれはブルーの暗い色になります。その色が今回の作品の影の色です。
赤い花びらの影、葉っぱの影、花瓶の影、テーブルに落ちてる影全てその色で塗ります。
それがトーンです。トーンが出来れば絵は80%はもう完成です。

 

さあ残りの20%は何でしょうか・・それは「色」です。比率は低いですが、作品が魅力的になるかを左右する超大事な要素でもあります。
最初に感じた空気の色が人それぞれ違うように、赤いバラの「赤」だって人それぞれ違く見えるはずです。なにも目の前のバラと全く同じ赤である必要はないのです。

オレンジ色の空気色に合う赤、ブルーの影色に合う赤など、その人次第の「赤」が存在するということです。このオリジナリティこそ魅力的な絵を生み出します。
それぞれ感じた空気の色が違えば、それだけバリエーション豊かな個性的な作品が並ぶわけです。

 

「空気」「トーン」「色」の3つを意識する

皆さんもう気がつかれたように、絵が上手く見えるのは「トーンがきちんとまとまっている」という事なのです。

なので「絵が上手になりたい」と思っている方は、まずは「空気」を感じる練習をしてください。
モチーフに対峙してどんな空気が見える?何色を感じる?何色に包まれたら素敵になる?等々、空気を見るようにしましょう。
空気を読めたらその色でしっかり「影色」をつけていきます。全ての影を同じ色で描きます。
そして、最後のトレーニングはその空気の中に溶け込む、あるいはその中で際立つ主役になる「色」を選ぶ事です。

 

世間には「もの」を上手に描くためのコツを紹介しているコンテンツは沢山ありますが、私のような指導をしている人は少ないように思います。
しかし、自分にしかない絵を描きたい人こそ「もの」ではなく、「空気」を描くことに集中すべきなのです。それが、あなたの独創性につながります。

魅力的な絵を描きたい思う方は、ぜひ村田旭の絵画教室をおすすめします。東京・大宮・郡山の3拠点で開催していますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

絵画教室の詳しい情報はこちら

 

「空気」を読んで、上手な絵を描こう

今回は絵が上手になるヒントとして「空気を読むこと」を、ご紹介しました。書いてあるポイントを参考に、ぜひご自身でも試してみくださいね。

次回vol2では、「2度描きの勧め」をお話ししたいと思います。次回の記事も、ぜひ読んでください。

 

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