絵画の個展に行こう!と思った際「どんな手土産を持っていけばいいの?」「服装はどうしよう?」と悩む人も多いのではないでしょうか。
今回は、絵画の個展で気を付けたいマナーを、画家の村田旭がQ&A形式で解説します。個展を開催する立場として、これは抑えておくべき!というポイントを紹介するので、ぜひ参考にしてください。
Q. 個展に行く際、手土産は必要ですか?
A. 多くの方が気にすることですが、無理に手土産を用意する必要はありません。「手ぶらで申し訳ない」と思わないでください。個展は絵を楽しむ場なので、気軽にお越しください。
ただ、個展のお祝いや手土産として、以下の物は控えるとよいでしょう。
・お花
お祝いとして贈る人が多いお花ですが、なるべく贈らない方が良いです。会場の雰囲気や個展のテーマに合わないこともあるからです。
私の場合、花等は展示テーマに合わせてコーディネートをお願いするようにしています。
・日持ちしない物
個展会場には冷蔵庫がないこともあるので、日持ちしない食品は避けましょう。個包装でサッと食べられる、常温保存のお菓子などの方が好まれます。
反対に、画家が今までの経験で嬉しかった手土産も参考として紹介します。
・ワインなど、その人が好きな物
画家の好きな物が分かっているのであれば、それを贈るのはオススメです。ワインのような飲み物だと、レセプションパーティーなどで皆さんに振る舞えますしね。
・お弁当やコーヒーポット、ちょっとしたお菓子
以前、事前に連絡をもらった上で、会場にお弁当を届けてくれた方がいました。個展の最中はスタッフも何かと忙しく食事にも行きにくいので、この心遣いは大変助かりました。
おいしいコーヒーをポットに入れてくれたり、休憩中に食べられるちょっとしたお菓子も重宝します。
▲過去の村田旭個展の様子
Q. 個展で気をつけるべきマナーは?
A. 以下の4つは基本的なマナーですので、気を付けましょう。
①画家を独占しすぎない
個展では画家と話せる絶好の機会ですが、ずっと話し込むのはNG!あまり人がいない時ならゆっくり話しても良いですが、独占しすぎないように気を付けてください。
ただし、画家に話しかけるのを遠慮する必要はありません。ちょっとした感想を言うだけでもいいので、声をかけてみてください。
ちなみに、稀に自分の絵を持って見せる人もいます…。個展ではその人の絵画を見る場です。自分の絵を広げるのは、マナー違反なので注意です。
②写真撮影は基本NG
ギャラリーにもよりますが、基本的に写真撮影はNGです。私の個展では「どうしても気に入ったから撮影したい」と1〜2枚絵画を撮影したり、「思い出として残しておきたい」と会場全体を撮影する程度なら許可しています。
ただし、撮る前は必ず画家やスタッフに一声かけてください。
③服装はカジュアルすぎない格好で
服装も基本的に決まりはありません。ただし、Tシャツ&ダメージジーンズのような、カジュアルすぎる格好は控えましょう。
個展は「絵画の発表会」です。発表会にふさわしい服装を心がけてください。
ちなみに、大きいリュックや荷物は観賞の際、作品に触れないよう注意しましょう!
④絵を楽しむ姿勢を忘れずに!
個展に行く際に一番大事なのは「絵を楽しむこと」です。画家も個展で一番嬉しいのは、自分の絵でお客さんが喜んでくれること。
「この絵は色がきれいだな」「この景色好きだな」など、なんでもいいので目の前に興味を持って、楽しく観賞してみましょう。
Q. 個展では絵画を買わないとダメ?
A. もちろん、無理に購入する必要はありません。ただ、絵画との出会いは一期一会。原画を展示している個展の場合、いいなと思った絵画が後日買われてしまった…なんてこともあります。その点だけは注意しましょう!
Q. そもそも個展で画家に話しかけてもいいの?
A. むしろ、ぜひ声をかけてください!個展は画家本人と話せる、貴重なチャンスです。「どこの景色だろう?」と不思議に思ったなら、画家に聞いてみてください。画家にとって、自分の絵画に興味を持ってもらえるのが何よりも幸せなことです。
あなたも画家本人から絵画のテーマや想いなどを深く聞くことができ、絵画の魅力がより増すはず。
話しかけにくい人は、最後に会場を出るときに一言感想を言ってみてください。感想なので、あなたの感じたことを何でも自由に言っていいのです。
「この絵が私は一番好き」それだけの感想でもOK。気軽にお声がけください!
Q. 個展の見るべきポイントってありますか?
A. 基本的には絵画は自由に見てほしいものですが、画家ならではの、個展で絵画を見るポイント・手順を紹介します。より絵画を楽しく見れる、上級者ポイントもチェックしてくださいね。
①まずは、個展会場の全体を見渡す
会場に入ったら、まず全体の雰囲気を見てみましょう。多くの個展では「テーマ」を設けていますので、そのテーマに沿ってどんな絵画が飾られているかなど、個展の世界観を感じてください。
上級者ポイント!
事前に個展のテーマを確認しておくと、会場内の世界観や飾られている絵画についての理解も増します。今はSNSなどで事前に告知していることが多いので、予めどんなテーマの個展なのか見ておきましょう。
②絵画を適度な距離を保ちながら、1つずつ見る
全体の雰囲気を感じたら、絵画を順番に1つずつ見ていきましょう。この時、絵画をすぐ近くで見るのではなく、絵画全体が見えるように1枚ずつ見ていくのがおすすめです。
上級者ポイント!
多くの個展では、個展のテーマに沿って飾る絵画を選定し、飾る順番にもこだわっています。村田旭の個展では、私つまり画家本人が個展全体の構成をプロデュースしています。
「この絵画はなぜ一緒に並んでいるのだろう?」そんな視点で見ると、個展もより楽しくなるはず。
③気に入った絵画を近くで見てみる
1つずつ順番に見終わったら、気に入った絵画に戻って、近くで見てみましょう。近くで見ると、筆の使い方や色の重ね方など細かい部分まで分かり、より絵画の魅力に触れられます。
ちなみに、海外での個展に比べて、日本人は最初から③のスタイルで見ることが多いです…。あまりスマートではないので、やや注意です。
上級者ポイント!
額縁やマットにも注目してみましょう。村田旭は絵画に合う額縁やマットを一つ一つ選んでいます。特に額縁はオリジナルで制作している、こだわりの逸品です。
額縁やマットは、絵画の「洋服」のような存在。どんな額縁やマットを選ぶかで、全く印象も異なります。正直、安価な額縁やマットだと「印象に残らない絵」にもなりがちです。
絵の魅力を引き立てる、額縁やマットも注目してみましょう。
Q. 個展で気に入った絵画があったら?
A. 画家本人、あるいは個展主催のスタッフに「この絵が気になる」と声をかけてください。その際、以下の点をチェックしておくと安心です。
・価格
個展によっては作品名のみ展示していることがありますので、価格を画家や会場スタッフに聞いてみてください。また、額縁付きの価格なのかも確認しましょう。
・支払い方法
現金なのか、振り込みなのか等、細かい部分も確認しておきましょう。分割払いが可能なこともあるので、気負いせずに気になることは聞いてみてください。
・いつ届くのか
個展に展示している絵画の場合、個展の期間中は絵画の発送はしないケースも多々あります。その場で持って帰れるのか、あるいは個展終了後に届くのか。認識の食い違いがないように確認するのがオススメです。
Q. 知らない人の個展って行ってもいいの?
A. 当然OKです!入りにくいかもしれませんが、気軽にお越しください。入り口で受付スタッフに「見てもいいですか?」と一言聞いておけば大丈夫です。入ったあとは、絵画を見ることに集中すると思うので「入りにくい!」という心配もありません。
2022.04.07(木)〜04.12(火)
神戸「フローラ アーティストギャラリー」で村田旭の個展を開催します
▲神戸の個展会場
異人館の街「神戸北野」にあるギャラリー「フローラ アーティストギャラリー」にて、村田旭の個展を開催します。神戸での村田旭の個展開催は、今回が初めてです。
今回の個展のテーマは…
女神伝説・Legend of the Muse
「彩踊る世界 光溢れる神戸フローラに
今日ミューズたちが舞い降りる」
美しいミューズ達の絵画が、春の神戸の街に咲き誇ります。今回はパステル&水彩を併用した混合技法の絵画と油彩画、全部で40点を展示いたします。
神戸の街並みにも合うおしゃれな会場で、ゆっくりと絵画鑑賞をお楽しみください。
▼個展の詳細はこちら
https://vasenoir.jp/kobe-exhibition202203/
村田旭の個展は神戸以外でも、東京・郡山で年2〜3回開催しています。ぜひ、観光がてら個展にお越しください。
▲郡山の村田旭のギャラリーです。
また、福島県郡山には村田旭のアトリエ兼ギャラリーもあります。こちらでは常時、村田旭の混合技法の絵画や、油彩画を30点ほど展示しています。ぜひ、ゆっくりと絵画を見に来てみてください。
▼ギャラリーの詳細はこちら
https://vasenoir.jp/gallery-koriyama/
マナーを正しく守って個展を楽しもう
個展での手土産や鑑賞マナーなどを解説しました。ぜひ個展に行く際の参考にしてください。
個展は絵画を楽しめるだけでなく、画家との距離が近くなる場でもあります。気になる個展があれば、ぜひ行ってみましょう。あなたを待っている絵画との出会いがあるかもしれません。マナーをしっかり守って、個展での絵画鑑賞を楽しんでください。