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絵が上手くなるためのヒント vol.3 〜スケッチをして「気づき」を得よう〜

前回は絵がうまくなるヒントとして「2度描きのすすめ」というお話しをしました。
今回はそれをちょっとバージョンアップしたヒントとして「スケッチ」についてお話しします。

「絵がうまくなるには?」とお悩みの方こそ、どうぞ最後までお付き合いください。

▼前回の記事はこちら
https://vasenoir.jp/painting_technique_20210701/

絵がうまくためには「スケッチをして絵を描き上げる」を欠かさない!

結論から言ってしまうと絵がうまくなるには
「スケッチをして、その後作品を描き上げること」を癖にするのが重要です。

これだけでは「昔から絵描きさんが普通にしていた当たり前のことでは?」と疑問に思う方もいるでしょう。大事なのは「作品を創ること」を意識することです。

例えば、港へスケッチに出かけます。朝の光をとらえてキラキラ光る水面に浮かぶ小さな漁船を描くとしましょう。
水彩の道具を準備して早速スケッチを始めます。一枚と言わず、もしかしたら2~3枚スケッチして帰ってくるかもしれません。

その後、描いたスケッチを広げてみて一番自分が入り込める”感動したスケッチ”をもとに実際に作品を描いてみましょう。

絵描きさんによっては、スケッチ=水彩、作品作り=油彩にするかもしれません。
私は油彩にする場合もあれば、水彩パステルでさらにクオリティをあげて作品にすることもあります。
いずれにしろ「作品を創る」という意識をもって絵に向かうことに意味があります。

スケッチの描き方は2種類ある

私は比較的早描きなのでスケッチに行くと半日で5~6枚は描いて帰ります。その際のスケッチの描き方は2種類に分けられます。

一つは記録的なもの・・・戻って作品にすることを意識し、作品にとって大事と思えるものを中心に描きこみます。
周りはともかく、船の帆先の細部や堤防においてある小物等々もしっかり描きます。完成された絵は、スケッチというより明らかに自分の眼で見た「記録」です。

もう一つは初めから「これは作品にする!」ぐらいの気持ちで描くスケッチです。
このような気持ちで描いたスケッチは、アトリエで真剣に向き合って仕上げた作品よりも空気感、臨場感ともに優れているように思えます!

これは南仏のマーケットでの一コマ。左がその場で描いたスケッチ・右が作品です。

 

スケッチは「手順」と「その場の感動」を意識すること

スケッチで大切なのは「意識して描く」ことです。
朝陽に煌めく水面と白く光る船を、その感動を描くのには、その感動を伝えるにはどのような手順がいいかなぁ・・。このように意識するかしないかで、作品が持つ魅力はガラリと変わります。
描ける描けないではなく、たとえ技術的に難しくても、その手順を意識することが大事なのです。意識すれば自ずと「この感動を伝えよう」と筆が進みます。

中には「今はカメラもスマホもかなり高度な写真が撮れるし、記録なら写真でいいじゃないか。。」とつい楽な方に考えてしまう人もいます。
しかし、写真はあくまで写真です。自分の眼を通した感動までは映し出してくれません。
写真は参考資料と考えたほうが良いでしょう。
写真を見て描くことについては別な機会にまたお話したいと思います。

水彩画のスケッチは「やらないこと」をより意識しよう

また、水彩を描いている人は白く残すため細部にわたりマスキング液をよく使うため、時間的にもスケッチには少々向きません。
したがって現場では頭の中でまず手順を組み立て「これは現場でしか出来ない作業」「逆にこれはアトリエでしたほうが良い作業」と分けてみましょう。手順を意識するとは、そういう意味です。

スケッチをする際は大きな空の深い色や水の色船の配置など、その場の風を感じ音や匂いを感じて、伸び伸びと筆を走らせましょう。今しか描けないものがあるはずです。感性を研ぎ澄ませて、たくさん感じましょう。

そして残りの時間は写真に頼らなくても良いように記録する必要があるポイントをいくつかスケッチしておきます。写真は最後の砦として、数枚残しておく程度に留めておきましょう。

◆サルラというフランスの町での一コマ◆
左がスケッチ・右が油彩にした大きめの作品です。
2つを見比べると「作品にする」という意味が分かるのではないでしょうか?

スケッチから「気づき」を発見しよう

さて、ここからが上手くなるための大切なヒントです。
スケッチから帰ってきたら、数枚のスケッチを並べてみます。何が描きたかったか、何を伝えたかったか、じっくり見直してみましょう。

そこで気付くことは紙の上でのバランスです。構図という方がわかりやすいかもしれません。
「水面の煌めきを描きたかったのに水の面積が思ったより狭かった・・・」
「空が感動的だったのに、その分量が少ない・・・」
「船がすごく白い感じだったのにそれを出すのには水の色をどうしたらよかったのか・・・」
等々、持ち帰ってみて気付くことが沢山あります。

その「気づき」こそ、上手くなるために、とてもとても重要なのです!
写真の切り取り画面は、あくまで機械の仕業ですから目で見たものとは違います。目で見て感じた切り取り方をマスターするのが理屈より何よりベターなのです。

さあ、スケッチを見た「気づき」をもとに作品にしてみましょう。画材はなんでも構いません。感動がデザインされ、ポイントが絞られたことで、よりクオリティの高い絵になるはずです。

実は「スケッチから気づきを得て描く」というのは、静物(お花のある静物)でも、人物を描く場合でも同じです。

冷静な目で見て「何に感動して、何を描きたいか、何を伝えたいかを」整理し、気づきを得ることが大事なのです。

場合によって、必要なものを付け足したり、あるいは取り除いたりすることもあるでしょう。色を思い切って違う色味に変更したくなるかもしれません。
正解・不正解なんて存在しません。どれだけ「気づき」を得られるかが重要です。この一連の流れを苦にならずに楽しめたら、絵はどんどん上手くなります。

気づきとは「自分の作品を、より良いものにする」という意識です。「これでいいや」と妥協せず、自分の気づきを貪欲に探してみましょう。

絵がうまくなるためのヒントを参考に、より良い絵を描こう

3回にわたってご紹介した「絵がうまくなるためのヒント」いかがでしたか?絵がうまくなるための細かい技術は沢山ありますが、大事なのは絵に向かう「意識」だと私は考えています。
今までの記事を参考に、より良い絵を生み出してください。

また、ヴァーズノワールでは大宮・東京・郡山の3拠点で、絵画教室も開催しています。
記事内では話せないこともレッスンでお教えします。気になる方は、お気軽に一度お問い合わせください。

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https://vasenoir.jp/lesson/

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