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水彩とパステルの併用「混合技法」を始めたきっかけ 〜油絵具アレルギーの克服や色鮮やかな絵画の確立〜

水彩とパステルを組み合わせた「混合技法」。他にはない色彩と透明感を楽しめる、世界でも類を見ない技法です。

今回は、村田旭が混合技法を始めたきっかけから、混合技法の魅力を詳しく解説します。

 

「混合技法」を始めたきっかけ

ルビーセレブレーション(33cm×24cm)

私が混合技法を描き始めたきっかけは、アレルギーでした。
1997年ごろ絵の世界に戻った私は突然ぺトロールのアレルギーが出てしまい、石油系の臭いが全くだめになり、油絵具に触ることすら出来なくなったのです。

今でこそ水彩画は市民権を得た立派な人気のアートになりましたが、当時は絵画と言えば油彩画のことを指していました。
特にデパートや画商さんたちは中々油彩以外の水彩画やパステル画などは商品として扱ってくれなかったのです。
とは言え、なんとかそこに食い込み、飾ってもらえなければ私の今後の人生においての死活問題です。

 

どうにか油彩以外の作品で頑張ろうと、アクリル絵の具も何度かトライしてみましたが、なんとなく軽くなる気がして発色も馴染みません。
ましてや画商さんたちの言うように水彩だけではどうしても絵の力が弱いように思えます。

油彩と並べても「見劣りしない絵」を作るため画材屋さんにも相談しながら試行錯誤を繰り返しました。
油彩画にも負けず、水彩よりもパワーのある絵画…そこで、私が見つけた画材が「パステル」でした。水彩画にパステルを加えることで、水彩にはない鮮やかな色彩を生み出せると気づきました。

 

そして、ようやく水彩とパステルをジョイントさせる「混合技法」を確立させました。元々はアレルギーがきっかけでしたが、今では混合技法が私の唯一無二の武器となり、世界でも高く評価されています。

 

水彩とパステルを組み合わせた混合技法の魅力

水彩とパステルを併用した混合技法は、世界的にも珍しい技法です。そんな混合技法の魅力を詳しく解説します。

混合技法の一番の魅力は、水彩の透明感とパステルの発色、2つのメリットを活かせるということです。

水彩は「情緒」の画材です。水の力で描く独特のニュアンスは絵に最高のムードをもたらします。空気を表現するのにこれ以上の画材はありません。
しかし、水の力で描くので、乾いてしまうと途端に輝きが失われます。時には絵の強さまで消えてしまう…これが大きな欠点です。

一方、パステルは直接 紙に顔料がのるために発色や輝きは、油彩に見劣りしないばかりか、むしろ色によっては強いくらいに感じます。
しかし、ややもすると粉っぽくなり必要な透明感やクリアーな切れがもう一つな感じがします。

 

そこで、私は「水彩」と「パステル」を上手く組み合わせることでお互いの長所を生かし欠点をカバーできないかと気付いたのです。そのあとは、取り寄せた様々な用紙に実験的に描いてみる日々が続きました。

 

水彩とパステルをどのように併用しているのか?

水彩とパステルは、それぞれ違う目的で作られた画材なので完璧に融合することはありません。
どこかで異素材を組み合わせたことのハレーションは当然ある訳です。
また、色が濁ってしまったら全く意味がなくなりますし、水彩とパステル、それぞれの特徴を生かすためには役割分担を明確にする必要があります。

 

そこで、まず色の分類し、役割分担を決めました。
水彩に向かない色を水彩で使わない。パステルで濁りそうな不得意な色はパステルで使わない。色を分類することで、当然役割が明確になります。

水彩は情緒の画材、つまり陰色は断然水彩、陰色以外はパレットに加えない。
パステルは光と輝きの画材、なので暗い色くすんだ色は一切使わない。
上記のようなルールで、水彩とパステルを併用することを決めています。
つい使いたくなることもありますが、絶対に使わないと決めて、各色の役割を意識して絵づくりを繰り返しました。

 

水彩とパステルのバランスをとり表情を描く

水彩とパステルの役割を決めてからは、かなりの枚数を描き、様々な実験を繰り返しました。
何度も試していく中で、ようやく私のイメージする「油絵に見劣りしない作品」が出来上がり、私の混合技法が確立したのです。

ブルーシャドー(41cm×32cm)
実際に展示会場で油彩作品と一緒に展示しましたが、軽さも見劣りすることもありません。
2003年に開催した日本橋での作品展では、多くの来場者から
「何で描いてるか?」
「作家はどこの国の人か?」
「技法を知りたい」
「水彩にパステルはどうやって使えばいいのか」
等々、かなりの反響がありました。
私の混合技法が確立したと、大きな自信になりました。

水彩・パステルの割合を変える意味

更には作品によって意図しない多彩な表情があることも新たな発見でした。
水彩の役割が多い場合、パステルの仕事量が多い場合、それぞれのパーセンテージによって作品の表情が変化していくのです。

池水に影さえ見えて(50cm×33cm)
例えば、風景画の場合は水彩の割合が多くなります。情景を描くのに水彩がぴったりで光と強い色が欲しい場所にのみパステルを入れます。

東南からの風(41cm×32cm)

逆にお花などの静物画の場合は水彩でざっくりと空気と影を入れたら彫刻するような感覚で花びらにパステルをいれると厚みのある作品になります。

水彩とパステルの混合技法といっても作品の表情もテクスチャーもそれぞれに違うのです。

しかし、2つの画材を使い分けする混合技法は、描き方が分かっても、描けるのものではありません。
「混合技法を教えてほしい」との申し込みもたくさんありますが、皆さん一度はやってはみるものの、中々続かないで終わってしまうのです。

それは、どうしてなのか。。。その続きは次回にお話しすることにいたします。

 

絵画教室では混合技法についてレクチャーもしているので、気になる方は、ぜひ体験入学にお越しください。
https://vasenoir.jp/lesson/

 

村田旭の混合技法の絵画はWEBでも購入できます

水彩とパステルを併用した、混合技法による絵画。世界的にも珍しい技法で、海外での個展でも多く人に喜ばれてきました。

そんな混合技法の絵画は、WEBでも購入可能です。ハガキサイズのリーズナブルな絵画や、大きなサイズの絵画まで、さまざま揃えています。
全て原画なので、混合技法ならではの美しさを一度ご覧ください。

 

▼オンラインショップはこちら
https://vseenoir.thebase.in/

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